全国部ブラックバス防除市民ネットワーク





ブルーギル
ブルーギルとは?
ブルーギルLepomis macrochirusは、スズキ目サンフィッシュ科ブルーギル属に属します。英語名のbluegillは「青いえら」という意味で、えらぶた後端の色が濃紺ないし黒であることに由来しています。北アメリカ原産の温帯性の雑食性淡水魚です(写真)。


ブルーギル Lepomis macrochirus  写真提供:今井仁 氏
導入経緯と分布拡大
日本へは、アイオワ州を流れるミシシッピ川で採られた個体が1960年に導入されたのが最初とされています。現在では全国各地の湖沼やため池、河川などで生息が確認されています。
分布拡大の理由
日本でこんなにブルーギルが拡がったのには、おもに二つの理由があります。一つ目の理由はブラックバスの場合と同じですが、人によって各地の水域へと放たれたためです。二つ目の理由はブルーギル自体がもっている生物学的特性です。ブルーギルは湖沼やため池、河川などの多様な環境に適応して生息できますし、北アメリカ原産なので冬の低水温に耐性があります。また、成魚は魚類や甲殻類、昆虫類、貝類、動物プランクトン、水草などを食べる雑食性で,生息環境に応じて柔軟に食性を変化させます。さらに、産卵数が比較的多く、かつ,雄親が卵・仔魚を保護する習性があるので,少数個体の放流で定着・増殖できます。このような侵略的な生物学的特性は、ブルーギルが各地の水域に定着するうえで役立ったものと考えられています。もちろん、これらの二つの理由のうち、どちらか一方でも欠ければ,これほどのブルーギルの分布拡大は起こらなかったものと推測されます。
在来生物群集への影響
ブルーギルは世界各地に導入されており、少なくとも20カ国以上で導入の記録があります。海外の研究者は、ブルーギルが定着して生息密度が高くなった場合に、捕食や競争・駆逐などにより在来生物群集に甚大な影響を及ぼすおそれがあることを報告しています。
同じように、日本各地の水域でも、ブルーギルが在来生物群集にさまざまな悪影響を及ぼしているおそれが指摘されています。例えば、滋賀県瀬田月輪大池ではブルーギルが侵入したあとにモツゴが急減しましたが、この原因としてはブルーギルによるモツゴの卵・仔稚魚及び成魚の捕食や餌をめぐる競争が関連しているものと考えられています。京都府深泥池や滋賀県琵琶湖,埼玉県比企丘陵のため池、東京都皇居外苑濠、長崎県川原大池などでは、ブルーギルがブラックバスとともに定着して急増し、在来魚の種数や個体数が減少するなどの在来生物相の変化が確認されています。このような魚類への影響だけでなく、捕食などによる他の在来生物への影響も懸念されています。
この他、ブルーギルにより水産業被害が起きていると考えられる水域も多くみられますし、ブルーギルが多く生息する湖沼では多数混獲されることにより操業に著しい支障をきたしています。